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歴史的な豪雨災害にどう対応するか
2009年8月20日
日本共産党福岡県委員会自治体部 木下紀男
すさまじい豪雨があった。「観測史上最大」とか「歴史的なゲリラ豪雨」と報道されているが、この集中的な豪雨により県内各所は甚大な被害をうけた。
党県委員会は関係地方議員や地方議員候補者から各地の被害実態をあげてもらった。その主な特徴と、これらに対して当面実施させるべき対策(以下●数次)を現行の法制度とも関連して検討する。
一、降雨量は120年間で最大
今回の豪雨について気象庁が発表した降雨量から次のことがいえる。
◇「観測史上最大」とは
「観測開始」は1890年であり、ここから今回の豪雨は「ここ120年間で最大雨量」といえる。
◇1日雨量・・平年の7月の1ケ月分が1日で降った
福岡市博多区では7月24日に254ミリ、篠栗町では251ミリ、飯塚市では290ミリ、北九州市小倉南区頂吉(かぐめよし)では267ミリの雨が降った。これは、ここ30年間の7月平均雨量(270~300ミリ)にほぼ同じ。
◇3日間雨量(7.24〜26)・・ 年間雨量の3分の1がこの3日間で降った
飯塚市(568ミリ)や大宰府市(618ミリ)、福岡市博多区(517ミリ)は、ここ30年間の年間平均雨量(1800ミリ前後が多い)の約3分の1となる。
1、住宅や宅地・農地に流入した土砂は市町村の責任で撤去させよう
住宅が隣接する土砂面の崩壊により、土砂が住宅内部や宅地、周辺農地等に流入し、撤去のメドがたたないまま、放置されている箇所が多数ある。これらの土砂は大量かつ、巨大な岩石が混ざったものもあり、多くは個人の力では撤去できない(小倉南区東谷川・紫川合流点、同長行、篠栗町城戸、粕屋町、行橋市椿市、等)。この流入土砂を行政の支援で早期に撤去してほしいという要望は当然である。
ところが、驚くことに、現状では、この流入土砂を撤去するための現行法規や制度がまったくない。災害救助法が適用された自治体以外では、被害者は自分の費用で撤去するしかない。
- 当面、党として、国や県に支援を求めるが、まず、市町村の責任で早急に土砂の撤去を行うよう強く要請することが必要である。
- その際、財源対策として、当面の「景気対策」での公共工事用予算や基金を活用するよう要請する。地場の建設業者は仕事がなくて困っている。現在の公共工事予算や基金を活用して、災害復旧工事を実施することは被災者にとっても、仕事がなくて困っている地場業者支援のためにも一石二鳥となる。これを要求する。
- 被災者が自費で撤去工事を行う場合には、領収証や被害状況写真をしっかり確保し、撤去後にも支援や救済を要求していくことが重要である。




2、心配される河川の浸水防止対策は管理者に緊急要請を
今回、福岡市東区や粕屋町等を流れる須恵川・宇美川、博多区を流れる那珂川、中央区を流れる樋井川、北九州市を流れる紫川・東谷川、竹馬川等、飯塚市を流れる建花寺川(けんげじがわ)など、多くの県営河川の各所で溢水や浸水が発生した。
また、国の管理河川である遠賀川やその支川でも発生している。
これらの河川で浸水した箇所では、堤防が低いか、堤防がまったくないところが多い。また、今回の豪雨で、新しく崩壊したり、決壊したりした箇所も多い。これらの箇所では、今からの台風シーズンや今後の降雨により、また再び被害が出るのではないかと強く心配されている。
- 河川の危険箇所では各管理責任者に応急対応の要求をしよう。県営河川では県に、市町村管理の河川では市町村に対して、住民とともに文書で緊急対策を要求しよう。管理責任者の当然の措置である。
- 国の管理河川である遠賀川に対しては、国土交通省や遠賀川河川事務所に申入れをする(仁比参議院議員も8月10日に国土交通省に要請)。その際、直方市や飯塚市など、遠賀川沿線やその支川での常時浸水地域解消のために、総合的な施策を実施するよう強く要求する。
3、農業分野では救済制度が必要
党の議員からは、農業用施設の被害についての要望が強くあがっている。これ以外にも、農作物被害への対応問題もあるが、この面はまだ党ルートではあがっていない。
(1)農業用施設の応急対策で施設管理者に緊急の要請を
農業用施設も多数の箇所で被害にあっている。前記の崩落土砂の流入や豪雨時の濁流により、農業用水路やため池、等が崩壊している。
行橋市椿市の事例のように、水路をささえている土砂が流出し、水路が宙に浮き、相当距離にわたって崩壊の危機にあるなど、緊急対策を講じないと極めて危険だと判断される箇所もある。
また、若宮では、特定の地域に被害が集中しており、早急の対応が求められる。
県農水部の調査では、農地・農業用施設での被害は、農地469ケ所、ため池43ケ所など合計962ケ所で被害額を19億9千万円としている。
- 農業施設に対しては、それぞれの施設の管理責任者を明確にし、その管理者に対して、応急対策を講じるよう要求する。復旧対策として、災害対策以外でも、日常的な改良工事の制度や施策を使えないかどうか、農林事務所等に十分に相談しその実施を要請する。
- 若宮の場合、県当局も「被害が集中している」ことを認めた。その原因を解明する。
(2)農作物被害の対応や農家への支援では共済制度以外に施策なし
県農林水産部のまとめでは、農作物被害は約8億9千万円で、最大のものは、柳川や筑後の大豆で2億7千万円、筑後や筑豊での「かき」も2億6千万円等の被害が報告されている。
県の緊急対等策としては、被災地の早期復旧とともに、農家への救済・支援としては「共済の早期支払いを指導する」等しかなく、施策の貧困がよみとれる。今後、被害農民の声や要望にもとづき、要請内容をまとめる必要がある。
4、生活再建支援では県や市町村にも国と同程度の施策の要求を
今回の災害では、県内で5千軒以上の全半壊や床上・床下浸水などが発生しているが、国の生活再建支援法が適用されるのは、現段階では、わずかに飯塚市の5軒のみであり、他は、全壊・半壊住宅への見舞金以外には、何の支援もない。改めて国の支援策の貧困さが浮き彫りになる。
国への支援の強化を求めるが、当面、以下の対策が必要となる。
(1)市町村による被害認定がまず先決
今回、床上浸水や床下浸水とされているが、これらの住宅に対して、市町村はすべて、全壊か半壊かの被害認定を行われなければならない。しかし、現状では、それが緊急に実施されているのかどうか不明である。
床上浸水の相当数が、半壊になる可能性があるが、災害発生後の経過をみても、全壊や半壊の軒数の変化はきわめて小さい。市町村が被害認定を早急に実施しない段階で、個人が自己の費用で住宅の改修を行う事例も出てくる可能性があり、認定実態があいまいなまま推移する可能性がある。
- 床上浸水や床下浸水の家屋について、早急に、全壊・半壊等の被害認定を行うよう市町村に要求する。また、被害認定の作業の進捗度も点検すべきである。
- 被害認定の基準として、国は柔軟な方向で行う姿勢を明確にしており、国の運用指針について「見直し」の方針が出されている。この「見直し」基準が重要である。
水害の場合、「内壁」が「浸水により仕上げ塗壁材の剥離が見られる」「壁クロスの汚損・表面劣化・剥離等が見られる」「浸水により塗土の半分程度が剥離している」等で「50%の損傷」となり、「半壊」となる。この見直し基準で被害認定をさせることが重要となる。
被害認定について、被災者が不服と思った場合には、「再調査」も要求できる。
(2)全国では市町村も独自に実施している
全壊や半壊住宅数が災害救助法の適用基準を満たさない場合でも、県や市町村は、独自の基準で救済や支援をすることができる。
今年7月に発生した岡山県美作市(みまさかし)での竜巻被害に対して、市は国の被災者生活再建支援法とほぼ同じ援助を行った。また、5年前の福岡西方沖地震では、福岡市は独自の住宅再建支援を行った。中越地震では、新潟県や長野県も独自施策をとっている。このように、県や市町村は独自に支援することができる。
- 災害救助法の適用にならない自治体に対しても、国と同様の支援が行われるよう、県や市町村に要求していく。
(3)居宅を失った世帯へは住宅の支援を急がせよう
土砂災害や床上浸水等で住宅を失ったり、当面、自宅には居住できない世帯が多数残されている。
- 住宅を失った世帯や自宅に住めない世帯に対して、公営住宅の斡旋や民間住宅の借り上げなど、住宅が確保されるよう市町村に要請する。
5、中小業者への直接の補償制度が必要
中小業者の被害について、福商連が加盟する会員からの聞き取りを行ったが、ここで深刻な被害実態が浮き彫りになっている。
東区の製袋業者は、数千万円もするコンピューター付の機械が“床下浸水”のために、重大な損害をこうむった。機械の場合、“床下浸水”でも重大な被害を受けるケースがある。
現行法や現行制度では、このような場合、何らの救済措置もない。
今回、県は利息0・1%以下で保証金なしの特別融資制度の実施を決めたが、昨年末からの緊急保証融資を借りた業者が多く、「これ以上借りられない」「借りても返せない」の声が強い。
- 中小業者への税の減免や特別融資制度の拡充とともに、被害への直接補償制度が強く求められる。これを国、県、市町村に粘り強く要求していく。
◇「国・県の市町村まかせ」と「市町村の国・県の制度待ち」の姿勢をただそう
日本共産党福岡県委員会は仁比参議院議員や党地方議員団とともに、8月10日、福岡県と国(国土交通省、経済産業省)に対して要請行動を行った。
災害に対しては、従来から、国や県は「それは市町村がやるもの」とし、市町村は被害が「国や県の施策にどうのるのか」の判定を待つ、すなわち、国や県の施策待ちの姿勢が往々にしてある。
このような中で、積極的な対応のないまま、被害は自費での復旧しかない現実がまかり通っている。国・県・市町村のこのような姿勢の改善を求めることが重要である。
◇9月議会や10月での対政府・対県交渉でも活路を開こう
当面、9月議会があり、10月には、県党として、対政府や対県交渉を行う予定である。これらの機会をいかし、住民要求実現のために全力をつくす。
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